少し前に完結したアスペル・カノジョという漫画を読んでいる。
朝刊配達のアルバイトをしながら風呂無し共同トイレの安アパートに暮らす、売れない同人マンガ家である横井拓のもとに、ある日、ファンを名乗る1人の少女が不意に訪れる。
自宅の住所など公表しているワケもないのになぜ住まいが知れたのか?
しかも、なぜ女性がたった一人で訪ねてきたのか?
・・疑問に思いつつも、おそらく日本に数名しかいない、いやたった一人かもしれない女性ファンであるということに気を許してしまい、つい彼女、18歳の斉藤恵を自宅に招き入れたのだが、コートを脱いだ彼女の手首には無数のリストカットの跡が・・
自宅の鳥取県から東京まで深夜バスでやってきたという彼女、「斉藤さん」は、横井の自宅に上がったままずっと帰ろうとせず、しかも家に帰りたくないと言う。あまりの展開に戸惑う横井だったが、事情がありそうな斉藤さんを無理に追い出すことが出来ず、仕方なく彼女を泊めてあげるが、横井が朝目を覚ますと、なんと斉藤さんは布団の中で手首から血を流していた!・・・
という出だし。
ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)傾向のある発達障害の女性と、その障害に向き合う男の話。自分自身にASD傾向のある筆者は読んでいて共感を覚える部分が結構ある。読んでいると、主人公の横井のASD女性との向き合い方も勉強になる。
けして聖人ではない横井がどうやってASD女性と向き合っていくのかを描いている。
12巻で完結している。
この本がなぜ、自分にとってこんなに面白いのだろうと考えていた。
おそらくは自分自身にも妻自身にもASD傾向があるからだと思われる。
そしてASD傾向のある妻との生活を維持するために、自分が何をしなければいけないのか、モデルケースの一つとして読んでいるのかもしれない。
ASD傾向があるからといって、社会生活ができないわけではないけど、やっぱり少し生きづらさは感じてしまう。
その生きづらさと真っ向から向き合っていく男女の生活を描いているから面白いのだろう。こういう登場人物が自分たちと向き合い続けながら、社会に迎合していくさまを描いた漫画って少ないので、興味がある方は一度読んでみたら良いと思う。
紙での出版物は、残念ながら廃刊となっているので、電子書籍での購入をおすすめする。
NHKの夜のドラマで制作してほしいと切に願っているシリーズだ